9月23日(日)秋の風に誘われ、敬愛する「藤田嗣治展」を観に上野の東京都美術館に行きました。

連休中とあり、上野はすごい人でした。東京都美術館の入口に着くと胸が高鳴ります。

本年は藤田が亡くなって50年目になるとの事。明治から昭和の激動の時代に生きた藤田の全貌が時代ごとに観る事ができます。

藤田を代表する乳白色の裸婦や猫の絵を確立する前の模索の時代、やはり惹かれるのは、パリの雪景色の絵でした。冷たい雪の白さや道が白く湿っぽくなっている様子など、白を巧みに描き分けていて印象的でした。

次に印象的だったのは藤田の花の絵です。「バラ」と言う作品ですが、花より茎に目を向けていると解説がありました。白い背景の中に華やに咲き誇るものは1輪もありませんが、少し下を向く花も茎はしっかりしていて、懸命に生きている姿が伝わりました。ちょうど第一次世界大戦の頃の作品です。命の尊さを感じながら、一輪一輪想いを込めて描いたのかもしれません。

そしていよいよ乳白色の裸婦の時代。日本初出品の「エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像」はとても印象的でした。(画像はパンフレットより)

今回何展か金箔を貼っている作品がありましたが、こちらは銀箔です。腐食して黒っぽくなり、人物の顔の白さが際立って見えます。日本画でも使いますが、これはもちろん作者の想定内で貼られたものかと思います。そして金粉も使われていました。衣の青の色も油絵具とは思えない深みのある色でした。今観ても新鮮に映るので、当時の外国人が見たら本当に斬新で驚いたのでは、と思います。

そして今回一番会いたかった、ポスターにもなった「カフェ」と言う作品。物憂げにカフェでワインを飲みながら手紙を書く女性。手紙の文字はインクが滲んでいます。観る人がいろいろな物語を感じてしまう、映画のワンシーンの様な魅力的な作品です。いつまでも観ていたくなる作品です。(画像はパンフレットより)

「カフェ」の絵で表現以外に惹かれたのは黒の巧みな表現です。今回、他の作品でも藤田の乳白色を際立たせる「藤田の黒」を再発見し、とても魅力を感じました。

そして今回全貌を観てもう1つ、世界恐慌、2つの戦争など様々な困難の中でも最後まで強い意志を持ち精力的に描ききった画家だったのだ、と思いました。

感動冷めやらず名残りを惜しんで会場を出ると、可愛い藤田さんと猫が立っていてほっと癒されました。しりあがり寿さんが今回のために描き下ろしたそうです。布製のキーホルダーも売っていました。

私の敬愛する藤田嗣治。今日は感動で満たされた素敵な一日を本当にありがとうございます。

美術館を出ると素敵な秋の雲が広がっていました。

 

 

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