今回は、日暮里駅から上野に向かう散歩道にある「羽二重団子」さんです。ある年のGW、どこにも出掛けなかったので、ふらっと谷根千を散歩に行きました。お店の前を通ると以前母と訪ねたとき、閉店間際で入れなかった事を思い出し、「今日は1人で入ってみよう!」と勇気を出して店内に入りました。

ところが、満席で残念に思いながら出ようとすると、お店の方が「奥があいていますよ。」と声をかけてくれました。行って見ると驚きの風景がありました。新緑の手入れが行き届いた庭には滝が流れ、池には鯉が泳ぎ、都会の喧噪を忘れさせてくれる風景が広がりました。お団子がくるのを待ちながら、滝の音に癒されていきます。程なくすると、お団子がお茶と共に運ばれてきました。


焼き団子と餡団子が4個ずつになっています。

焼き団子は、生醤油の香りが口の中に豊かに広がり感動の味わいでした。餡団子もきめ細かく甘さ控え目でどちらも羽二重の名のごとくなめらかでとても美味しかったです。滝の音に癒され美しいお庭を眺めながら至福のときを過ごしました。

今回こちらのお店を調べていると、面白いエピソードを見つけました。森鴎外や正岡子規などの明治の文豪に愛されたこのお店、あの岡倉天心もファンだったそうです。

以下は「東京のおいしい和菓子」より。岡倉天心がある時馬でやってきた所、馬だけが離れて家に帰ってしまった。(中略)天心は団子屋で一杯飲んでいた。

このエピソードを読んで何だか雲の上の人だった天心がとても近くに感じられました。きっと天心もこのお庭で一人、酒と団子を頂きながら時の経つのも忘れ至福の時を過ごしていたのだろう‥。そんな想いでこちらの一枚を描いてみました。



この機会に天心について少し調べましたが、この絵の東京美術学校(現在の東京芸術大学)の制服制帽がとてもお気に入りだったとのこと。この衣装で愛馬に乗っている写真を関係者に配っていた、今で言うインスタ映えの走りかなと微笑んでしまいました。

明治22年〜〜昭和7年まで根岸にあったお店からは中庭が見えたそうです。


天心先生まだかな、と店の中を覗く愛馬。きっとしびれを切らせて家に帰ってしまったのですね。馬を描こう!と思い、イメージしたのは広重の「富士三十六景」の「下総黄金原」と言う絵です。船橋市民ギャラリーで、偶然見かけた船橋市図書館の収蔵品の展覧会です。当時この地域は江戸幕府直轄の馬の放牧場だったそうです。他にも千葉を描いた歌川派の名品がたくさんありました。「名所江戸百景」の馬のお尻が大きく描かれてる絵は有名ですが、広重がこんなのどかな風景を描いていた事に心打たれました。



日本の伝統美術に携わる一人として、明治と言う時代に、数々の逆境を乗り越え、時代の波にのまれる事なく信念を貫きと通した岡倉天心の事をもっと知りたくなりました。もうすぐやってくるGWにまた訪ねたら、天心先生の気持ちに少しは寄り添う事が出来るかな、一杯飲みながら頂く羽二重団子はまた味わい深かったのでしょうね。

時間も楽しく制作中です。どうぞお楽しみに(*^_^*)

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